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成年後見制度は今後どう変わる?現在利用中の方への影響も解説

相続

「成年後見制度が廃止されると聞いたけれど、支援そのものがなくなるの?」「今の成年後見人はどうなるの?」と不安に感じる方もいるでしょう。

2026年6月24日、成年後見制度と遺言制度を見直す法律が公布されました。成年後見制度については、現行の「後見・保佐・補助」という3つの類型を見直し、補助制度を中心とする仕組みに改めます。

ただし、成年後見制度そのものが廃止されるわけではありません。また、改正部分はまだ施行されておらず、2026年7月29日現在、具体的な施行日も決まっていません。今は従来どおり、後見・保佐・補助の制度を利用します。

この記事では、改正の要点と、現在制度を利用している方への影響を一般の方向けに説明します。

まず知っておきたい3つのポイント

  • 成年後見制度による支援がなくなるわけではありません
  • 改正後は、本人に必要な行為・権限を選んで支援内容を組み立てる方向になります
  • 現在の後見・保佐は施行日に一律終了せず、新制度へ自動的に切り替わるわけでもありません

現在は「後見・保佐・補助」の3つ

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない方を、家庭裁判所が選んだ成年後見人等が支援する制度です。

現在の法定後見制度は、判断能力の程度に応じて3つに分かれています。

現在の類型 主な対象 支援の特徴
後見 判断能力を欠く常況にある方 成年後見人が財産に関する法律行為について原則として広い代理権・取消権を持つ
保佐 判断能力が著しく不十分な方 借入れや不動産取引など重要な行為に保佐人の同意が必要。必要に応じて代理権も付けられる
補助 判断能力が不十分な方 申立ての範囲に応じ、特定の行為について同意・取消しや代理の権限を付ける

日用品の購入など、日常生活に関する行為は取消しの対象外です。

改正後は何が変わる?

改正後は、成年の「後見」と「保佐」という類型を廃止し、判断能力が不十分な方を広く補助制度の対象とします。

項目 現在 改正後
制度の分け方 後見・保佐・補助の3類型 補助制度へ一元化
支援の範囲 類型ごとに権限が定まる 本人に必要な特定の行為・権限を定める
判断能力を欠く常況の方 後見を利用 補助を利用し、必要なら特定補助人を付ける
終了・縮小 後見・保佐は判断能力が回復しないと終了しにくい 支援の必要がなくなれば、審判の全部または一部を取り消せる
本人の意思 意思尊重の規定・運用がある 意向を把握し、尊重する義務をより明確化

改正の中心は、判断能力の程度だけで広い権限を一律に与えるのではなく、預金の払戻し、不動産の売却、施設との契約など、本人が必要とする場面に合わせて支援を組み立てることです。

「補助への一元化」は制度全体の廃止ではない

「後見と保佐を廃止する」という説明だけを見ると、重い認知症などで判断能力を欠く方が支援を受けられなくなるようにも読めます。しかし、そうではありません。

改正後は、判断能力が不十分な方を補助制度の対象とし、家庭裁判所が必要性を確認したうえで、次のような支援を定めます。

  • 特定の行為について補助人の同意を必要とする
  • 同意を得ずにした行為を取り消せるようにする
  • 特定の法律行為について補助人に代理権を与える
  • 判断能力を欠く常況にある方には、必要に応じて特定補助人を付ける

本人以外が補助開始や同意・代理権の審判を申し立てる場合は、原則として本人の同意が必要です。ただし、本人が意思を表示できない場合は例外があります。

特定補助人とは

特定補助人は、判断能力を欠く常況にある方について、必要があると家庭裁判所が認めた場合に付けられる補助人です。

特定補助人が付いた場合、借入れ、保証、不動産その他の重要な財産に関する取引、相続の承認・放棄や遺産分割など、法律が定める重要な行為は取り消すことができます。家庭裁判所の審判により、これ以外の特定の行為を取消しの対象に加えることもあります。日用品の購入などの日常生活に関する行為は対象外です。

特定補助人自身には、取消権の行使、本人への意思表示の受領、財産の保存行為をする権限があります。

注意したいのは、特定補助人が現在の成年後見人と同じ包括的な代理権を当然に持つわけではないことです。本人に代わって契約などをする必要がある場合は、家庭裁判所が特定の法律行為について代理権を与える審判を別に行います。

必要がなくなれば、支援を縮小・終了できる

現在の後見・保佐は、本人の判断能力が回復しない限り、終了が難しいという課題があります。改正後は、判断能力が回復していなくても、支援の必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば、同意、取消し、代理などに関する審判の全部または一部を取り消せるようになります。

たとえば、特定の財産処分が終わり、そのための代理権が不要になった場合には、その権限だけを見直すことが考えられます。

一方で、最初から一律の利用期間を決め、期限が来れば自動的に終了する制度ではありません。終了や範囲の変更には、法律で定められた人からの申立てと家庭裁判所の審判が必要です。

本人の意思をより丁寧に確認する

改正法は、補助人が本人の心身の状態に応じた適切な方法で意向を把握し、その意思を尊重することを明記しています。

家庭裁判所が補助人を選ぶときも、本人の意見、心身の状態、生活や財産の状況、候補者との利害関係などを考慮します。本人の利益のため特に必要な場合には、不正行為がなくても補助人を交代させられる仕組みも設けられます。

本人の希望だけで必ず特定の人が補助人に選ばれるわけではありませんが、本人の意向が重要な判断材料になることは、これまで以上に明確になります。

現在、後見や保佐を利用している方はどうなる?

改正法が公布されたことだけで、現在の成年後見人等の地位や権限は変わりません。また、施行日に後見・保佐がすべて終了するわけでもありません。

施行前に始まった後見・保佐は、経過措置により、原則として従来の制度が続きます。新しい補助制度へ移る場合は、家庭裁判所に新制度の審判を求め、家庭裁判所が従来の後見・保佐の審判を取り消す手続が必要です。自動的に移行するものではありません。

一方、施行前から利用している補助は、原則として新制度の対応する補助の審判とみなされます。

現在利用中の方は、審判書、登記事項証明書、代理権目録などを保管し、今後公表される裁判所の案内を確認してください。必要な対応は、現在の類型や与えられている権限によって異なります。

任意後見はどう変わる?

任意後見は、判断能力が十分なうちに、将来支援してもらう人と支援内容を公正証書で決めておく制度です。今回の改正でも任意後見制度は残ります。

改正後は、任意後見を始める際に家庭裁判所が「任意後見開始の審判」を行い、原則として任意後見監督人を選任します。ただし、監督の必要がないことが明らかな場合には、選任しないこともできる仕組みです。その場合も、家庭裁判所が任意後見人の事務を監督します。

また、任意後見と法定の補助を必要に応じて併用しやすくする見直しや、任意後見人が本人の意向を把握して尊重する義務の明確化も行われます。施行前に締結した任意後見契約にも、原則として改正後の規定が適用されますが、改正前に生じた効力は妨げられません。

施行日はまだ決まっていない

成年後見制度に関する改正は、2026年6月24日の公布から起算して2年6か月を超えない範囲内で、政令が定める日に施行されます。

2026年7月29日現在、具体的な施行日は公表されていません。裁判所の後見ポータルも、現行の後見・保佐・補助の申立てを案内しています。

施行前に財産管理、施設入所契約、遺産分割などの支援が必要になった場合、改正を待つ必要はありません。現行制度の利用を検討できます。

よくある質問

成年後見制度はなくなるのですか?

いいえ。成年後見制度による支援は残ります。成年の後見・保佐という類型を廃止し、補助制度を中心に、本人に必要な範囲で支援する仕組みへ改めます。

今の成年後見人は自動的に補助人になりますか?

自動ではありません。現在の後見は原則として従来の制度が続き、新制度へ移るには家庭裁判所の手続が必要です。

判断能力が回復しなくても終了できますか?

改正後は、支援の必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば、判断能力が回復していなくても審判の全部または一部を取り消せる仕組みになります。本人や家族の判断だけで自動終了するわけではありません。

特定補助人は何でも代理できますか?

いいえ。特定補助人に包括的な代理権が当然に与えられるわけではありません。代理が必要な法律行為について、家庭裁判所による代理権付与の審判が必要です。

改正まで待った方がよいですか?

一律にはいえません。今、契約や財産管理に支援が必要なら、現行制度の利用を検討できます。本人の状況、必要な手続、緊急性を踏まえて判断します。

まとめ

今回の改正は、成年後見制度をなくすものではなく、本人に必要な支援を必要な範囲で利用しやすくする見直しです。

もっとも、改正部分はまだ施行されていません。現在の後見・保佐は一律終了せず、新制度への移行も自動ではありません。施行日、申立書式、運用の詳細は、今後の政令や裁判所の案内を確認する必要があります。

現在の審判内容を確認したい方、制度の利用を検討している方は、審判書や財産・契約関係の資料を用意してご相談ください。

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※本記事は、2026年7月29日現在の法令・公的資料に基づく一般的な説明です。個別の事案に対する法的助言や、家庭裁判所の判断結果を示すものではありません。